コロナ過でpt900がおかしなことに。。。銅が入っている。
年末に何受け取っていた仕事を仕事始めのアイドリングでサイズ直しの仕事を始めました。
いつも通りの作業をしていてなぜかうまく作業が進みません。
サイズ直しのために鋸で切ってそれをロウ付けをしてまたリングに戻します。
鋸で切るのは問題ないのです。
ロウ付けをすると一見きれいにできます。
しかし、仕上げの作業をしていると小さな割れが出てしまうのです。
実際、ロウ付け作業をしているとまれに失敗をします。
その時は普通にもう一度火をかけてロウ付けをしなおします。普段より温度を上げたり少し方法を変えて作業します。
それでも、うまくつきません。
さすがに、自分の腕も疑いましたが明らかにいつもと違いました。
皆さん仕事始めがまだまだですが、様々な業者さんに聞いたり取引先に確認を取りました。
そうしましたら、海外の鋳造屋さんではプラチナの高騰で銅やニッケルを割金に使っているようなのです。
ここで割金とはないかの説明をいたします。
プラチナなどには多くがpt900という刻印が書かれています。
これは、100%の内90%がプラチナですということです。
それ以外の10%が割金ということです。
本来は、パラジウムというプラチナ系金属を混ぜて強度や色を出していました。
問題は、このパラジウムです。
このパラジウムは、かつては¥800/gでしたが今や約¥7000/gです。
ちなみに今は約¥4000/gです。
なので10gのプラチナ900を作るのに昔は、
プラチナ分 10g×0.9×4000=36000
パラジウム分 10g×0.1×7000=7000
なのでpt900の10gの金額は41000円となります。
もしパラジウムが800円の頃でしたら、36800です。
金額差が4200円あります。
私のような個人のお店では、この違いはお客様にきちんと見積もりでご説明させていただいておりますので大きな問題ではありません。
少し高くても、きちんとしたものを使用する方が、作業的にもやりやすいのでここはきちんと材料費として計算しています。
しかし、海外などの生産を主にしている業者さんには月間1000g生産する会社などではこの金額の差が大きくなります。
なので、このパラジウムを何か違うものに変えてしまいます。
いろいろな試行錯誤の上、選んだ銅だと思います。
まず気になるのは、金額です。
¥840000/t これは、¥840/㎏さらに¥0.84/gとなります。
まさかですが、このようなことが起きているようです。
私もまさかとは思いますが、このような割金が本当に使われているようです。
金額では全くの価値が無いのはわかると思いますが、問題は性質です。
銅を使うのはジュエリー業界ではよくつかわれています。
有名なのは、K18ゴールドのピンクゴールドです。
色味はとてもかわいらしく割かし最近使われている割金の配合です。
私たち職人からしては、ピンクゴールドは少し悩みの種です。
銅が多く含まれていると、分子的構造上で結合が悪く熱によるロウ付けに、難しさが生じます。なのでピンクゴールドの修理には少し工夫が必要となります。
場合によっては、少し曲げると本体が陶器の様に割れることがあります。
そのため、割れたら大変な修理が必要になります。
なのでプラチナに銅が入ると同じようなことが起きてしまいます。
今後は、量産品の修理にはもっと注意して修理が必要になります。
早くコロナも落ち着いて、割金がきちんとなってくれることを心から願っています。
ariraでは、作業が大変なのでプラチナに銅が入った地金は使いません。
少し高くてもパラジウムを使用します。
こちらの方がアフターケアであるサイズ直しなども容易です。
早くパラジウムがかつての様に800円に戻ることを心から願っております。
今後、youtubeなどを解説して、何が大変なのかを説明する動画を作成したいと思います。
ジュエリー製作は、化学です。いろいろ目でわかる形で情報発信をしていきたいと思います。
arira 柳澤